お酒を通して只見町から田園風景を守っていく|合同会社ねっか 奥会津蒸留所 - スピリッツ&ウイスキー

お酒を通して只見町から田園風景を守っていく|合同会社ねっか 奥会津蒸留所

Q.どういうお仕事をされていますか?

A.地域の田んぼを次世代に残すためにお米を使ったアルコール飲料を作る会社になります。

Q.ねっかの1番の強みは何ですか?

A.うちの強みは原材料の米から作っていることだと思います。全国探してもなかなかないんですよね。ワインだと当たり前の雰囲気があるんですけど、この国の日本酒や焼酎はなかなかない。管理しきれないんですよね。

Q.他社と比べると自社のお酒をどういう風に思っていますか?

A.他社さんと比べて美味しい美味しくないっていうのは別として、ポリシーはきちんと持ってるかなと感じています。それに対するお客さんの評価もすごい高いんじゃないかなと思っています。

Q.イベントは年間どれぐらい行ってるんですか?

A.大体月に2回から3回はありますね。なるべく今減らそうとしてんですけど、コロナで減って今数が戻ってきている気がしますね。県内だけじゃなく、東京とか色々なところに行っています。

Q.状況が色々変化する中で、会社でこれだけは変えたくないことはありますか?

A.うちはいろんなアルコールを作っています。焼酎はじめ日本酒、リキュール、あとスピリッツなどを作ってはいるんですけども、軸は米なんで。私たちの軸はこの地域の田園風景を守っていくことで、お米を軸にした商品作りをしています。それを飛び越えて違うもので作るということはないようにしようと思っています。

Q.今後のねっかとしてのビジョンはなんですか?

A.お米を通してこの田園風景がどんどん線に繋がっていって、そういった中で今度は資産という形で子供たちに残せればいいな。お米を使ったウイスキー作りをこれから手がけていきたいなと思っています。

Q.次世代につげていきたいことはありますか?

A.この田園風景を守っていくことが私たちの企業理念でもあります。私たちはお酒を通しながら地域の子供たちと一緒にこの地域を作ってるんですよね。子供たちはお酒を飲めないんですけども、田植えとか稲刈りをしてできたお酒に子供たちがラベルを書いて。お酒が飲める二十歳になったらプレゼントしているんですけども。その取り組みを通じて子供から大人にメッセージを伝えるということをしてます。

只見町は1番近いコンビニが45km先とか病院が80km先とかで。この地域出ちゃえよっていう親の感覚で言ってしまうとやっぱり子供たちは町を出ちゃうんですよね。でもそうじゃなくて、この地域はこの地域の良さがあって、ちゃんとそれを伝えて選択肢の1つとして残していくことも大事だと思うんですよ。親世代は学んでいませんが、子供たちは地域学をならってて地域の良さを知ってるんですよね。なので子供たちから親を教育して繋げてくためには、この地域に関わる人数が必要になってくるので、子供たちがこの地域に関わり続けられるようなことをこれからもずっと続けていきたいなと考えてます。

唯一無二の「ねっか用酵母」と小さな蒸留機を使い、香りにこだわっています

Q.ねっかの蒸留酒の特徴を教えていただけますか?

A.日本酒のようなもろみ作りというのがありまして、お米も削りますし酒米っていうものにこだわって、吟醸作りをやってます。普通焼酎はもろみ期間がすごく短いんですけど、日本酒はちょっと長くとって、できたもろみを小さな400Lっていう。普通の小中メーカーさんは大体8000とか 1万5000とかの蒸留機を使う中、すごい小さな蒸留機を使ってます。その小さな蒸留機を使うことによって、減圧蒸留と言って蒸留機の中を真空にするんですけども、真空率が高いので沸点がぐっと下がって、30度以下で蒸留するっていうのがうちの特徴なんですよね。

そのことによって今まで取り出されてないカプロン酸エチルっていう香りを、多分業界初じゃないかってぐらい高濃度でうちは取り出すことに成功しました。デメリットとしては歩留まりがめちゃくちゃ悪い。そこをどうやってカバーするかっていうと、お米を買ってなくて作ってるというところで原価を抑えてる。

この香りを出す元になる酵母っていうものも福島県ハイテクセンターが開発し弊社て実用化したものです。うちの酵母は「ねっか用酵母」という名前がついているので、他で真似しようとしてもこの酵母を使えないですし、そもそもが歩留まり悪くて原材料の価格を下げない限りはうちと同じものは作れないので唯一無二とは思っています。

Q.その酵母になぜこだわったのですか?

A. うちは香りにこだわってまして、カプロン酸エチルっていう香りなんですけども。一般的に5から8ppmの数値が出ると日本酒だと金賞を取るレベルですが、うちのベーシックなねっかで15ppm。ばがねっかで40ppm以上出てるので日本酒の8倍ぐらいの香りがでています。ppmは気体、香りの単位です。

Q.蒸留機もこだわりましたか?

A. こだわりましたが、お酒の免許は建物設備があることが条件なんです。免許を取る前に建物設備を整えないといけないんです。なので私たちがあの減圧蒸留機を買ったのはたまたまなんですよね。本当にラッキーとしか言いようがないです。

Q.一番好きなお酒はなんですか?

A.私が好きなのはウイスキーで、これからウイスキーもはじめたいと思っているんですけれども。自分の中で何をしたいかというと、自分のライフスタイルを自分の酒で演出したいんですよ。ウイスキーは食中酒ではないので料理を食べる時に初めは焼酎をベースにした何かのハイボールだったりロックだったりとかで食事を楽しんで、お腹いっぱいになったら締めでウイスキーを飲みたいんです。

Q.ウイスキーは何が好きですか?

A.かなりピートが強いやつが好きです。例えばアードベックとか。オクトモアは先ほどのppmの表記だと250ppmとか150ppmとかとてつもない数値。アードベックが55ppmなんで大体3倍ぐらいの香りが含まれてる。

Q.ねっかのウイスキーもそこを目指すのですか?

A.そこを目指すわけではないんですけれども、そういったものをつくります。泥炭がこの地域にあったとして、私が実用できるかどうかは別問題で。ユネスコ エコパークも管理している地域なのでいいのかとかそういうところもあるので。 自分たちは米農家なのでまた違うものでそういった香りが作り出せないのかという研究をしてます。

若い人たちの関わりが増えてきたので、業界の未来は明るい

Q.今社員さんは何人いらっしゃるんですか?

A.社員は4名です。あとはパートとか冬に酒作りをしている中で地元の冬の雇用を守るってことをやってるので、冬季期間は地元の農家さんたちが7名ほどいます。

Q.社員さんたちとの間で大事にしてることは何かありますか?

A.そうですね、意思疎通と確認というところです。お酒なのでワンミスが命取りになりますし、引くことができない仕事なんですよね。間違ったものを入れたらそれを取り出すことはできないので。

Q.社員さんを怒ることもあるんですか?

A.もちろんありますけれども、間違ったことを怒るのではなくて、どうやったら2度と間違わないようにするか。そこでの会話に時間をかけています。だれがやっても間違いがないし、同じことができるということをつくろうとしています。

Q.社員さんを教育することで大事なところや必ず守ることはありますか?

A.大事にしてることで言えば、一緒に酒を飲むことですね。やっぱり自分の作ってるものを自分が飲み手じゃないと、責任も出てこないし面白さも伝わらないんで。ことあるごとに一緒にお酒を飲んでますね。

Q.地域は協力的ですか?

A.そうですね。うちは立ち上げ当時から街に関わらせてもらって、ベクトルを同じ方向に向けてやってきました。行政も民間の商店も旅館も農家さんたちも同じベクトルを向いてこの米焼酎を作るという地域課題の解決があったので。只見町のすごいところは、立ち上げ当時にねっか担当の役場職員がいたっていうことですね。

Q.以前と比べて酒類業界が良くなったところはありますか?

A.良くなったところは、若い人たちがお酒・アルコール業界に関わろうとしてるところが良くなったことかなと思います。まだまだ免許の要件などで自分たちが作りたいものを作れてないのかもしれないですけども、そういった中でも関わっていろんなお酒を作り出そうとしてる若い人たちが増えてきてるのがすごいです。アルコールは右肩下がりになって来てますけども、少し明るい未来かなと思ってます。

Q.近年ビジネス環境が変わったなと思うことはありますか?

A.今までは名前が通った蔵しか眼中になくて 、日本酒がここ、焼酎がここ、価格もこれだよねって決まっている部分がありました。それが若い人たちが入ってきたことによって直接販売が増えてきて価格上がったなという感じはしますね。だから自分たちは地酒なので地元の人たちに飲んで欲しいっていう価格で設定はしてるんですけど、それもちょっと高めなんですよ。地元の人たちが飲んでる焼酎はパック酒だったりするので、それより高いのは当たり前で。それでも焼酎の価格帯の中ではうちはミドルクラスだと思います。それが都市部行くと安いよねって感じです。

脇坂代表について

Q.この仕事を始められて何年になりますか?

A.ねっかを立ち上げては8年でその前に日本酒16年。24年ぐらいお酒業界にいます。

Q.この仕事を選んだ理由はなんですか?

A.もともと私は建築業界だったんです。ものづくりをもっと極めたいなという中でたまたま妻がこちらで日本酒作りをやっていて、日本の伝統産業に携わりたいなということでこちらに移住しました。そういった中で地域の農家さんたちと知り合い、この地域の田園を残したい、そのためにお米を使ったお酒を作りたいから手伝って欲しいということで一緒にやり始めたっていうのがきっかけです。

Q.この仕事で面白いと思うことはなんですか?

A.お酒ってハレの日の飲み物だったりするわけなんですよね。1日の最後とか、その人生のいろんな場面の時に自分たちが作ったお酒が携われるっていうものと、お酒を飲むことができて一緒に時間を共有できるのが、お酒を作ってる一番楽しいところかなとは思います。

Q.大変なことはありますか?

A.お酒を作ってる間は焼酎・日本酒も含めなんですけども、微生物を扱っていて、微生物は毎日変わるんですよね。スピード感も早いので一瞬一瞬大事で1日見ないとどんどん進んでいくので。日々を積み重ねていうかちゃんと微生物との対話が必要なので、二日酔いだから行かないというわけにはいかないんですよね。

Q.会社立ち上げの時に不安に思ったことはありましたか?

A.ありましたね。お酒の製造免許がないと試作ができないんですよ。免許を取って初めてお酒を作っていいので、免許取る前に試作すらできない。どういったものができるかわからない。どんなに大金をはたいても美味しいものができるか確証がないです。そこが1番の不安でしたね。結果いいものができたんで奇跡だなと思っています。

Q.お客さんに言われて1番印象に残ってることはありますか?

A.うち結構日本酒と間違われるので、医者に止められて日本酒飲めなくなってしまったけど、うちのお酒のおかげで地元の郷土料理に合わせて美味しい酒が飲めるよねって言われたのは嬉しかったです。福島県や東北はお米の文化があるので、料理自体がお米でつくったお酒に合う料理が多いんですよね。アルコールとして摂取したいから飲んでる人たちがこの焼酎を飲むことによって、ペアリングを考えながら料理もお酒も美味しいと思ってもらえたので良かったかなと思いました。

Q.尊敬されてる方はいらっしゃいますか?

A.尊敬してるというか、憧れている人物は星野リゾートの社長は憧れてますね。あのライフスタイルに憧れます。星野リゾートの社長はスキーが好きで、私もスノーボードが大好きなんですけれども、自分が仕事一辺倒位になってしまうと色々なものが見えてこなくなってしまうので。いろんなものに触れ合って、仕事と自分のプライベートをちゃんと分けられるのはすごいなと思って。いつかそこまでいきたいなとは思っています。

Q.最後に伝えたいことはありますか?

A.福島って日本酒とか今だと色んな地ビールとかワインとかも本当にいいお酒が増えてきてるので、やっぱりいろんなお酒を特に福島県の人たちに飲んでもらいたいなって思いますね。それはお客さんだけじゃなくてお店の方も含めてなんですけれど。バーではなかなか日本酒は難しいのかもしれないですけどクラフトビール使ったりして、一緒に福島を応援してもらえたらすごい嬉しいなって思います。

合同会社ねっか 奥会津蒸留所

〒968-0603 福島県南会津郡只見町梁取沖998
TEL:0241-72-8872
https://nekka.jp/

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